2026年6月も後半に入り、特定技能制度の運用において、各業界の受入枠組みや支援制度に大きな動きが相次いでいます。特に製造業分野における対象拡大や、新しく始まった在留カードへの対応など、今月は実務に直結する重要な「確定変更点」が集中しています。
今回は、出入国在留管理庁や関係省庁の公式発表に基づき、受入企業が今すぐ押さえるべき3つの最新動向を分かりやすく解説します。
1. 【工業製品製造業】2026年6月施行!対象の産業分類が「49→76分類」へ拡大
製造業分野(工業製品製造業分野)において、今月最も大きなトピックとなるのが、対象となる日本標準産業分類の拡大です。
これまで特定技能の活用が認められていた49分類から、一気に76分類へと約1.5倍に拡大されました。
- 何が変わったのか? これまで「自社の業種コードが対象外だったため、特定技能の採用を諦めていた」という中小企業様にも、広く門戸が開かれました。新しく対象となった業種(紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製など)の企業様にとっては、即戦力となる外国人材を「特定技能1号」として直接雇用できる大きなチャンスとなります。
- 実務上の注意点 新たに受け入れを検討される場合は、自社の定款や登記上の産業分類コードが、今回の拡大された76分類と1mmのズレもなく合致しているかを精査する必要があります。また、製造分野の協議会(JAIM)への加入手続きなど、事前の社内整備もあわせて必要です。
参照:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/ukeiretaisyou.html
2. 「特定在留カード」運用開始に伴う現場の初期対応
かねてよりアナウンスされていた通り、2026年6月14日より「特定在留カード(在留カードとマイナンバーカードの一体化)」の本格運用が開始されました。
運用が始まった今、企業の人事・労務担当者様が改めて把握しておくべき実務の原則は以下の通りです。
- 切り替えは「任意」であることをスタッフに周知する この一体化カードの取得は義務ではなく、希望者のみの「任意」です。外国人スタッフが「今すぐ手続きしなければならないのか」と不安になっている場合は、現在のカードをそのまま2枚持ち続けても就労や在留資格に一切の影響はないことを正しく伝えてください。今後の在留期間更新などのタイミングで、本人の希望に応じて順次切り替えていくのがスムーズです。
- コピー・スキャン時のマイナンバー漏洩対策の徹底 カードが1枚に集約されることで確認は便利になりますが、不法就労防止(在留資格の確認)の目的でカードをスキャンして社内保管する際、裏面などに記載されているマイナンバー(個人番号)をそのまま保管することはマイナンバー法(番号法)により原則認められません。 該当箇所をマスキング(黒塗り)して判別できないようにする運用の徹底を社内で改めて確認してください。
参照:https://www.moj.go.jp/isa/tokutei.html
3. 【建設分野など】JAC(日本建設技術教育機構)受入支援サービスの一部改定
建設分野などの特定技能を支える一般社団法人日本建設技術教育機構(JAC)より、2026年6月1日付けで受入支援サービスの制度が一部変更されています。対象となる受入企業様は、支援金の申請基準について確認が必要です。
「資格取得等奨励金制度」の対象変更 技能試験等の合格者に対する奨励金制度について、主な変更点として「支援対象が、特定技能人材が2号に移行した後の企業(試験等の合格時点)のみ」に変更され、支給額が一律5万円(当面の間)となりました。
「一時帰国支援」制度の変更 外国人スタッフの一時帰国にかかる支援について、日本への再入国につき一律5万円(1人当たり上限2回まで)へと変更されています。
このように、各種団体が提供するサポート金や奨励金の仕組みも、現状の「特定技能2号へのステップアップ(長期定着)を奨励する形」へと変化しています。
参照:https://jac-skill.or.jp/news/information/support-service-system-change.php
不確かな情報に惑わされない、堅実な雇用管理を
2026年の特定技能は、手続きのデジタル化や分野ごとの要件変更が非常に早いペースで進んでいます。だからこそ、噂や検討段階のニュースに振り回されず、国や公的機関が発表した「確定したルール」に則って、一歩一歩クリーンな受入体制を整えていくことが、結果として企業の信頼性と外国人スタッフの安心感へと繋がります。
